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  • 執筆者の写真Aarteeni

精神的な「親子逆転」が生きづらさを生む?(その影響と癒しのヒント)


 

目次






 



精神的な親子逆転って?


子どもの頃に、

なんらかの事情で


「親の感情のケア」をせざるを得ない環境にいた


という方

意外と多くいらっしゃいます。




「親の感情のケア」とは


たとえば



親の不機嫌をなだめないといけなかった


親の不安や落ち込みなどを慰め励まさなくてはいけなかった


親の夫婦喧嘩を仲裁し取り持たなくてはいけなかった 


親が怒鳴ったり暴力をふるうことを黙って受け入れなくてはいけなかった


どんなに苦労してきたか、どんなに大変か、という親の話を承認しなくてはいけなかった


親の愚痴を聴き続けなくてはいけなかった・・・



こんな

親サイドの心の満たされなさや

葛藤や不安定さや甘えなどを

大人のように子どもがケアをすること。




これらはほんとうはできるだけ


親サイドのほうで、

大人の領域(誰かにSOSを発することも含めて)で

おさめてほしいものなんですが



それを子どもサイドががんばって

受け入れて支えてあげている

(親が、子どもに甘えてそうしている)




つまり


本来であれば、


基本的に

親が子どもの心のケアをする


というベクトルが


子どもが親の心のケアをする


といったように逆転していることを


精神的な「親子逆転」の状態と呼んだりします。


アダルトチルドレン(AC)傾向のある方にとっても、

身に覚えのあることかもしれません。




子どもの頃の思い出

そうしたのは「やむを得ないこと」だった



わたしは


「だからあなたの親は毒親」とか

「だからあなたに問題がある」とか


そういうことを伝えたいんじゃないんです。




親が心身に病気を抱えていたとか

親の人間関係・仕事関係が複雑だったとか


家庭の事情は十人十色。

もちろん、子どもであったあなたの事情も同じです。




お伝えしたいことは


誰かや環境を糾弾したり

ダメ認定することではなくて


もしそれで今なんとなくスッキリしない感を感じているなら

これからのあなたがどう幸せに生きるか


そのための、なにかのヒント。




そのために

まず正当に認めるべきことは



そういう環境で

子ども時代を過ごしていたら

親のメンタルのケアをしたのもやむをえなかった、


ということ。



子どもは、その家庭で生存していかなくては

いけないのですから

その環境に適応したのは

その心身を、命を守る行動です。



だから、あなたに非はないのです。

たとえ、逃げたり関わりを拒否したりしたとしても。






子ども時代の「親子逆転」大人になってからどんな影響がある?



親の感情のお世話をしなくてはいけなかった

かつての子どもは


大人になってから

どんな影響でしんどい思いをしがちなんでしょうか。






自分の感情を抑圧しがち


子ども時代に自分の生存をかけて

親の感情を察知し受容し、取り持っていたら

自分の感情など感じていられないのは当然です。

大人になっても、他人の感情や欲求を優先して

自分の気持ちにフタをしてしまうクセを持ち続けることもあります。




自分のやりたいことなどがわからなくなる


自分の感覚やニーズなどより

親の感覚やニーズを察知することが

優先だったために

自分がなにをしたいのか、

どんなふうに生きたいのか、などが

よくわからなくなってしまうケースもあります。




なぜか、親と似たようなパートナーを選んでしまう


意外と多いご相談のケース。

「男性は〇〇だ」「家庭とは〇〇だ」という

価値観や思いこみが潜在意識下に存在しているためともいえるし

それを今度こそ乗り越えたい、リベンジしたい、と

心のどこかで思っているからともいえます。

さらにズレたセルフイメージや自己否定が

そういうパートナーシップをつくっている場合も多くあります。




無意識に親より幸せにならないよう制限してしまう


親を超えて幸せになると罪悪感が湧いたりする場合

自分の幸せを制限してしまうことがあります。

親サイドの無意識の心の問題を敏感に感じ取って

望むとおりの現状をつくってしまうこともあります。

(たとえば「結婚なんかで幸せになるはずがない」という

親の価値観があったら、それと同一化して親に安心してもらう等)




無価値感が根強い


親の問題をがんばって支えようとしても

子どもがどうにかできることは限られています。

それを「自分のせい」と心のどこかで感じてしまっていると

自身の無価値観につながり

自己肯定感の低さや自信のない気持ち、

次のようなドライバー(自分を駆り立てる思いこみ)につながることがあります。




苦しい人間関係をつくってしまう


「役に立たなければ自分は価値がない」

「正しい自分でないと評価されない」

「誰かのお世話をしなければ愛されない」

等の思いこみからそのように行動してしまい

それが対人関係やパートナーシップ、

職業の選択や生き方を

苦しいものにしてしまう場合があります。




人との境界線がわからなくなる


親の心の問題を、自分ごととして解決しようとしてきたため

人との距離感や境界線がよくわからなくなってしまうケースもあります。

人の領域に侵入したりされたりすることが原因で、

人間関係やパートナーシップがつらいものになることも。



甘えたり、頼ったりすることが苦手


ピンチの時であっても

自分ひとりで何とかするのがデフォルトだったので

誰かに頼るという選択肢があまり浮かばない傾向があります。

子どもの頃に自立をがんばってきたあまりに、

適切な相互依存(健全な頼り頼られ)の関係が

よくわからなくなったりしがちです。


ちょっとひと息

親子の役割逆転の影響から抜けるヒント



いま現在、そういう影響を受けているからと言って

一生そのままだという訳ではありません。



自分の人生は、自分が望みさえすれば

自分の手で変えていくことができるもの。



変えていくためには


まずはそういう環境にいた自分や

その時感じていたはずの感情を

認め受け入れていくことです。



なぜこれがまず大事かというと


現在地の自覚なしにはどこに向かっていいかわからないものですし


感情は、自分に認めてもらえないと昇華できず

昇華できないと

思いこみを外したり

価値観を変えたりしにくいからです。




「よくがんばったね」

「ほんとうは、こう思っていたよね」

などと、

かつての自分を心からいたわるのもおすすめ。




その環境で生きていくために

身につけた無意識の行動や思考のクセは

あなたの命を守っていたはず。




生存をかけたその大事なパターンを

手放すためには


思考レベルの理解ではなく

「もう、本当にそれは必要ないんだ」

「もう、私は自由になっても大丈夫なんだ」と

感情レベルで安心し、納得すると

よりスムーズにあたらしい生き方に移行しやすいでしょう。





おわりに


子どもながらに、

大人のような役割をしてきた方は

人生の初期の段階から相当がんばってこられたはずです。


そして頭と心をフル回転させて

当時のベストをつくしたことは

誇りに思ってよいこと。


そんな方々が、

もっと幸せを感じながら

自分の人生をのびのびと生きられたら


その優しさや共感性や愛情を

もっと自他のために使っていけるはず。



そのお手伝いをしています。


お力になれたら幸いです。





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