top of page
執筆者の写真Aarteeni

「自己形成」のパラダイムシフト




 

「本当の自分」というものは、

どこかから持ってきて身につけるものではなく、

あらかじめ自分に内在しているものです。


その「本当の自分」の姿がどんなものなのか

自分自身も知らないところから

自己形成の作業は始まるのであって、

「自分」を探索していくようなプロセスなのです。


ですから、私たちが行うべきことは、

まだ知らない「本当の自分」に対して畏敬の念を抱きながら

彫り進めていくことです。

これが「本当の自分」と出会うための

大切な心構えです。




『「普通がいい」という病』泉谷閑示 著


(上の図はP105の

「自己形成のふたつのイメージ」の図を模して作ったものです)

 



「こうあるべき自分」

「理想の自分」

「なりたい自分」


そんな「自分」に向けて努力する。



おそらく誰でも

そうしてきたことがあり、


そのことで

目標達成したり

よい人生を創ってきた方も

多いのではないでしょうか。



もちろんわたしも、そのひとりです。




けれども、



「あるべき自分」になろうとして




よき妻よき母よき娘であるようにしよう、


資格を沢山取って

あるいは業績を上げて評価されるようにしよう、


社会や家族、地域に適応するようにしよう、



親やパートナーの役に立つように、


「正しい」教えのとおりに、


「安全」に生きられるように、


「ダメな自分」「弱い自分」とバレないように、


他の人より優位に立てるように、


お金を沢山もてるように、



・・・・・・


・・・・・・



そんなふうにあろうと

努力し続けて

「自分」をコントロールしているうちに



「本来の自分」がわからなくなったり


生きることがつらくなったり


人間関係や今後の生き方に悩んだり


健康を損なったり


現実にいろんな問題が勃発したりすることは


意外とよくあることです。





わたし自身も


「自分の気持ちはさておき家族を助けるべき」

「生きていくために’安定した会社’に適応すべき」

「現在よりも将来の安心を何よりも優先すべき」


などなどの


「あるべき自己」像を自分に押し付けて

コントロールした結果、


仕事、人間関係、健康面など

あらゆる側面で「詰んだ」ことがあります。





生まれてからある程度の大人になるまでは

おそらく誰でも


「本来の自己」に

「あるべき自己」の要素を足していきながら

成長していくタームがあると思うんです。



生まれた家庭の環境に適応する、

常識やルールを身に着ける、

学校に適応する、

理想の将来のために学ぶ、

目の前の人間関係を円滑にするために行動を変える、



それらは当時生きていくために

必要なことであったわけで


がんばってそれらを身に着けたことを

否定するつもりはまったくありません。




けれども、


その身に着けたものが

「本来の自己」を圧迫し


「本来の自分らしさ」や

「本来の命の力」を

息苦しくているなら


「自己形成」のイメージを

ある地点で転換させる必要があります。








精神科医の泉谷先生は


冒頭の図でいう


「”あるべき自己”になるように

足りないところを身に着ける」

自己形成のイメージを


「塑像的自己形成」、



「本当の自分を削りだす」

自己形成のイメージを


「彫刻的自己形成」


と呼んでいます。





これはわたしの考えですが



「あるべき理想の自分」の「設計図」に向けて

外側のなにかを石膏のように自分にくっつけて

「塑像的」に自分を創っていくタームと、




そのタームで身につけたけれども

そのせいで


「どうも息苦しい」

「本来の輝きが覆われてしまう」

「モヤモヤする」

「うまくいかない」

「窮屈だ」


となる余計なものを削って

「彫刻的」に自分を掘り出していくターム、




これらを繰り返し行き来しながら


自分というあり方や

行動や思考

感性や価値観、

自分の世界を創っていくのでは

ないかと思ってます。




今提供している

セラピー、セッションは


「彫刻的」に自分を掘り出すタームにいる方の

サポートのケースが多いです。





今までがんばって

その環境を生きるために

努力して

「塑像的(足りないものを身に着ける)」に

創ってきた自分も自分。



でも


中心にある「本来の自分」は


「こうあるべきだ」

「こうしたほうがいいはずだ」

「こうしないと生きられないぞ」


というあたまのコントロールを超えた力


本来の命の形を生きようとする。




「この部分はもういらない」

「手放してほしい」

「本当はこう感じる」

「本当はこうしたい」などと


内側から訴えかけてくることがあるんです。




不快な気持ちや

不本意な現実や

うまく進まない出来事に

であったときは

訴えを聴く、ちょうどいいタイミング。




「塑像的(足りないものを身に着ける)」な方向性から

「彫刻的(本当の自分を削り出す)」な方向へと

シフトチェンジしていきやすいタイミングです。




たとえばそんなタイミングで

ヒプノセラピーで潜在意識に触れ

本来の自己に触れにいくと



「え、こんなこと思ってたのか…」


「ああ、知ってたつもりだったけど、本当には知らなかったな…」


「そうだったのか…」


知らなかった自分に出会い

茫然とされる方もいらっしゃいます。



でも、

厳然としてそこに、

以前からずっと、


その自分は存在していたんですよね。



その自分のかがやきを削りだして

この世に姿をあらわしてあげられるのって

自分だけ。



塑像的に何かを身に着けたのは

自分の力なので

それを取り去ってあげたり

必要な部分を残してあげることができるのも

まぎれもなく、自分なんですね。





内側の訴えの声を聴きたい、

本来の自分のかがやきや力を

掘り出していきたい、

という方の

お力になれたら幸いです。





Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page