top of page
執筆者の写真Aarteeni

『思い出のマーニー』とインナーチャイルド(2)


(つづきです)


このお話は、登場人物がほとんど良い人で


救いの多い話なんですけど


中でも


もう記憶から忘れかけている祖母の存在が


杏奈の存在の根幹を作っていたことが


とても大きな希望だと思います。





祖母は、自分のある体験を物語のように


幼い杏奈に聴かせながら言うのです。





「私は、怖いものを沢山乗り越えてきた。


だから杏奈も大丈夫よ。


だってあなたは私のたった一人の孫なんだから!」





この祖母の自らを信じる強さと愛情が


杏奈を勇気づけるんですね。





いくつかの気づきや赦しや和解の後に


大切なこの事実を思い出し


杏奈の成長はひと区切りを迎えます。





物語のなか、杏奈は


少女のマーニーは


いま現在に存在している人物じゃないってことを


わかっていました。





でも、その存在のおかげで杏奈の心は成長し


祖母との心のつながりを取り戻した。





それは真実で、そこに嘘はないのです。





セラピーでも似たようなことが起こることがあります。





亡くなった人の魂や


ハイヤーセルフ的な存在


前世の自分の存在など


現実的かどうかというと議論の起きそうな


イメージに登場してもらう場合。





でも、そのイメージはご本人が自分を癒し


成長させるために自ら導き出すイメージです。





アスリートの方たちも


よく成功した自分をイメージし


その通りに行動していたりしますよね。





自分を助け勇気づけるために


無意識のこころから湧き出たイメージをみずから使い





そしてその結果


望むように心がいやされ成長し


誰かとの心のつながりや


身体とのつながりを取り戻せるのならば


わたしはそれは


とても主体的な生き方だと思うのです。





イメージは「嘘」とはちがう主体的な選択です。








ちなみに、最初の出会いのシーンがまたいいんです。





ボートに乗ってマーニーに会いにきた杏奈に向かって


マーニーは


「あれは私のボートよ。あなたが来ると思って置いておいたの」と笑うシーン。





癒されるきっかけや


自分が大事にしたい心の存在


(それはマーニーであり杏奈であり祖母でもあります)は


ただおとなしくじっと待っている訳ではなく





現実になにかの出来事を起こし


(まさにボートを差し向けるようなことですね)


本人に気がつくよう促すんだな、と思いました。





人が成長をねがう力って本当に力強い。





まさに生命の力そのもののように感じます。

bottom of page