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  • 執筆者の写真Aarteeni

自分が何をしたいのかわからなくなった時に


「俺の腹は、今なに腹なんだ。」


『孤独のグルメ』のゴローさんがよくこんな言葉をつぶやいてます。





松重豊さんの出演する、深夜の夜食テロといわれるこのドラマ


ただごはんをおいしそうに食べているだけ、


という平和な感じが好きで


寝る前やぼーっとリラックスしたいとき、録画してあるものを観ます。





自分の胃袋が今なにを求めているのかを真摯に問い、


今本当に食べたいものを真剣に歩いて探すこの感じ。


素敵です。





私もよくこんなふうに自分に問いかけたりします。





「え、どんだけ食いしん坊なのこの人」と呆れるかもしれませんが


その訳は食いしん坊だからというだけではありません(8割方そうですが)。


「心の声を聴くため」という理由がちゃんとあるのです。








昔、あたまで考えることがとっても多かった時期


たとえばひとりでカフェに行って飲み物を注文する時の私の判断基準は





「値段」>>>>「身体にいいかどうか」>「いつも頼むもの」>「飲みたいもの」





こんな感じでした。





「自分の楽しみのためにお金を使うのはもったいない」


「だから一番安いブレンドの小さいサイズ」


「甘いシロップ入りは身体に悪そう」


「だからストレートの紅茶にする」


とあたまで考え、そこそこ満たされていました。





カフェに行くこと自体を自分に許すだけでも大変な


お金のない時期だったのでこれはこれでよかったのですが


私にとって一人でお茶を飲むという時間は、結構重要な時間でした。





その重要な時間すら、「自分が何を欲しているのか」を優先せず


たった50~100円程度の違いにもかかわらず


「常に」


「自動的に」


「無自覚に我慢」


して、



値段や


「身体に悪いから」


「いつものやつだから」


という思考を優先し


気持ちに反するものを摂取しているということは、


他でも同じことをしている可能性が高いわけです。





そこを、なんとかしたかった私は


こんなささやかなことから始めました。





ドトールやスタバなどでメニューを凝視し


ものすごく真剣に、ゴローさん並みに


「わたしの腹は今…」


と問いかけ、


ふと


「なんか果物っぽいもの」と感じたら


ブレンドじゃなくて季節のジュースにしたり


「濃厚なもの」だったら


カフェモカやココアにしたり





その時欲するもの


に変えてみたところ


心の満足度がとても高くなりました。





満足度が高くなると何がいいかって、


それが心的エネルギーをためる行為になるんです。


私はこころのエネルギーが非情に枯渇している時期に試したので


それがうっすら溜まっていく感じが、おかげでとてもよくわかりました。


枯渇していた甲斐があったわけです。





それでも間違えたり、季節限定品にふらっとして「これじゃない」と思う時はありますよ。


でも


「自分は、どうしたいのか?」


「今何を望んでいるのか?」っていう、


この問いかけの積み重ねで


人生のそこそこ大きい選択のときに


「どうしたいか」を選ぶ、その感覚が磨かれるかもしれない。


「自分らしい」選択ができるようにもなるかもしれない。





それを思うと毎回真剣にもなります。


カフェで失敗しても、大した失敗にならずどのみちおいしいわけですから、試しがいもあります。





私の場合はカフェですが、


人によって


絵や音楽だったり


その日着るものや散歩の経路など


好きなジャンルは様々なので 


自分の好きなその分野でやってみると満足度が高いと思います。


 





「自分は本当は何をしたいのかわからなくなった」


「好きなことしろって言われても、何が好きなんだかよくわからない」


という声は


若い方から人生の先輩まで、いろんな立場の方から聴くことがあります。


自分の気持ちより優先させるべきものがあって


頑張ってこなくてはいけなかった人のケースが多いかもしれません。


私も、ある部分ではそういうことを感じる時がやはりあります。


 


もしかしたら今の時代、大なり小なり多くの人が感じていることかもしれないです。





それでも


何らかの事情で頑張り過ぎ疲れすぎて


本当にまったくわからなくなって


途方に暮れてしまう程の時期もあるでしょう。





それがだめなのでは決してありません。


そういうことになった理由や背景が必ずきちんとあるのですから。


そして、それが次のステップに必要なことだったりする場合もあるのですから。





でもそんな時でも、一歩進みたいとき


こんなささいな


ふと感じるような自分の気持ちを大切にすることから


少しずつ進むケースもあります。


そうしてエネルギーがうっすら溜まってきたら





「これやってみたい」


「面白そう」


「実は、ずっとこうしたかった」





と思えるものに、出会えるかもしれません。

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