Aarteeni
変わりたいのに変われない時
「過去にこういうことがあって今もつらい」
「子供のころ親がこうだったのでこうなった」
といったような傾向のお話を伺うことがあります。
たいていセラピーを本気で受けたいと思うような方は
それを言い訳にして犠牲者になっているのではなく
だからどうにかしたいんだと思ってこられる方がほとんどです。
こころのどこかで
「自分は悲劇のヒロインになってないか」
と自分を疑りつつ
でも悩んでご自身でいろいろ調べたりして
なんとか努力されていて
「どうして今つらいんだろう」と思いを巡らせ
ある程度そのきっかけを突き止めていらっしゃる。
これってすごいことです。
私なんぞは不器用なので
今でこそ自分の心を深く見つめたりはしますが
忙しく仕事していた時は目の前のことで精いっぱいで
ほとんど自分の心のこと気にしていられなかったですよ。
なので素直に
そこまでちゃんと考えていらっしゃるのがすごいなあと
思ってしまうのですが
「そこまではわかっているけど・・・」
と続けておっしゃる方が多いのです。
きっかけっぽいものはわかっているけど
そのつらい気持ちから抜け出せない。
「こうなりたい自分」になれない。
たとえば
自信が持てないと悩む方は
「もっと堂々とした自分」とか
子育てでイライラしてしまう方は
「もっとやさしい自分」などの
「なりたい自分の姿」になれないから困っている
というようなお話になります。
「頭ではわかっているけどできない」状態。
そういう時は
「今の自分はダメだからもっとこうなりたい」と
自分を否定してしまっている状態なので
スパルタ的に
「さあ自信をもて!」
「イライラするな!」
と自分に厳しくしても
すぐに芳しい変化が得られないことが多いのです。
(念のため付け加えますが
「イライラ」とか「自信がない」ことが
即「ダメなこと」なのではないですよ)
こういったお悩みで
インナーチャイルドセラピーを望まれた場合は
過去の自分に戻ってその時感じていた気持ちを感じてみる
というセッションをしたりします。
大人の今の自分が
「こういうことがあってつらかった」
と頭で考えるのと
その時の過去の気持ちを
今このとき
「ああーつらい!かなしい!あいつムカつく!」
と感じきることは、別です
(悲劇のヒロインになることとも別)。
どこが別なのかというと
勇気を持って感じきり
インナーチャイルドの気持ちを尊重することで
チャイルドの気が済むんです。
「わかってくれたならまあいいや」
と落ち着いてくれる感じです。
そうすると、過去の出来事の「見かた」「解釈」が変わってくる。
もちろんご本人がそう望んでいればの話ですが
落ち着いた分だけ
激しい感情を出したぶんだけ
こころにスペースができ視野が広がるような感覚で
つらいだけだった出来事を
違う視点で見ることもできるようになってくるんです。
記憶の中の出来事は同じでも、
その解釈が変わることで今の自分の心持ちも変わります。
「さあ変われ自分!」
と自分に厳しくしても変わらなかったことが
自分の気持ちを受け止め感じることで
無理なく自然と変化することがあるのです。
そんな変化を目の当たりにすると
こころって本当にしなやかで
すごい力を持っているんだなあとしみじみ思うのです。
過去は変えられないけれど
「今、過去をどう捉えるか」を変えることはできる。
どう捉えるかは、どうしたいかによって
自由なんだなあと思います。
