Aarteeni
統合失調症の親への気持ち(1)

人に話しにくい「自分のこと」ってありますか?
親しい人にもあまり言えないこと、
たとえば過去のつらい体験や病気、家族の話や諸々背負っているものなど
2、3個くらいは誰でもあるかもしれませんね。
それは、
大人になってからできたものですか?それとも子どものころから?
大人でも、「しんどいのに誰にも相談できない状態」って結構きついものがありますけど
子どもならなおさらです。
かなりの重荷ですよね。
そういうの、今の子どもたちはどうしているのかなあとたまに思うときがあります。
今は、昔と違いスクールカウンセラーがいたり、
インターネットで似たような環境の人と文字でつながることができるから、
少しはその重荷を下ろすことができるのでしょうか。
それでも、あまりに重すぎるために
その重荷を「存在しないことにしよう」と心が判断すれば
心が耐えられるようになるまで、
下ろすことはないのかもしれませんけれど。
私の「人に話しにくい自分のこと」は
父親が、私が小さい頃から統合失調症を患っていた、ということです。
ここから書くことは、
あくまで「私と父の関係においての個人的な話」です。
同じ病気でも、
症状や人や家族の思いは千差万別ですので、
ひとつの個別的なお話として読んでいただければと思います。
私が子どもの頃、今から30~40年ほど前は
ネット環境も普及していなかったため今より格段に情報も少なく
医療や福祉制度もさほど進んでおらず
統合失調症は、
大人でさえも正しい認識がしにくい病気だったような記憶があります。
当然、子どもの私も大人以上に正しい認識ができませんでした。
あたりまえですよね、子どもですから。
そしてその病気の症状ゆえに
子どもが生きのびていくための「親に守ってほしい」という欲求が
私の心情的に満たされなかったことから
(父は当時の父なりに守ってくれていたんですけどね)
親に対して複雑でネガティブな感情を抱いていました。
今でこそ、「父も病気で大変だったなあ」と振り返ることができますが
子どもの私には心がついていかなかったのです。
さらに、
この病気の特徴である本人の病識のなさや、
家族間での
「秘密にしなければならない」
という雰囲気も加わり
「誰かやどこかに相談すること」
という可能性さえ思いつかなかったため
統合失調症の父にどう対応していいのかわからないばかりでなく
父の日常のことや症状、
それに伴って生じる自分の感情を
大人になるまで誰にも話せずにいました。
今は親が精神疾患を持つ子どもの掲示板がネット上に存在していたり
NHKのハートネットTV等で特集されていたりして(これもすごい反響でしたね)
オープンないい時代の流れを感じますが
当時は本当に誰かとつながることなど考えられない心境でした。
でも、当時はそれが
「私にとっての普通の状態」だったので
「言いたいのに言えなくてつらい」
「話を聴いてほしい」
なんてまったく思わなかったのです。
そのかわり興味の対象は精神的な病に傾倒していきました。
本を読み、父の病気の理解ができると、少し落ち着きました。
今思えば、
知識を入れ頭で理解することによって
自分の気持ちを納得させ黙らせようとしていたのです。
「そういう病気の症状なんだから、
不安になったり怒ったりしてもしかたないよ」
という具合に。
つまり、誰にも話さなかっただけではなく
私自身でさえも、
私の気持ちを受け止めることができなかったのです。
自分が受け止めなかった気持ちは消えたのかというと、
もちろんそんなことはありませんでした。
ただ、圧縮して箱に入れ
倉庫にしまっていたようなものだったのですね。
少し長いので続きます。
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